今でも多くの方が単身赴任を強いられる昨今、何故このような仕組みが日本で出来上がったのでしょうか?
高度成長期
1955年~1973年までの19年間を指します。 日本経済は、年平均で10%もの成長を続けました。
この時に、名実ともに日本は経済大国になりました。
高度成長期以降、日本では企業が社員に転勤を命ずるのが当たり前になりました。
拠点の拡大
多くの企業が全国に拠点を広げるようになりました。
その為、支店を増やしていったため、地方に社員を振り分けなければならなくなったのです。
法律の確立
戦後、日本国憲法の下で労働基本権が確立されました。
労働者の権利は憲法で守られ、一度就職すれば、よほどのことがない限り雇用を維持することが当たり前となりました。
その結果、日本の企業は労働者の雇用をできるだけ長く維持するようになりました。
人事権による支配
その代償として、経営状況に応じて従業員を異動させる強い人事権を持つ労使間の認識が確立されました。
業績が悪化しても、簡単に解雇されずに雇用を継続する見返りに、会社から命じられた異動に応じることが暗黙のルールとして根付いてしまったんですね。
転勤を人材育成、教育に組み込む
同時に、企業は人材育成のプロセスに転勤を組み込むようになった。
例えば、社員は数店舗の支店で管理職を務めて、本社に戻って出世などです。
社員にとって転勤は当たり前のことになっていました。
転勤者の金銭的、精神的不安
しかし、雇用の維持や出世の代償とはいえ、サラリーマンにとって転勤は負担でした。
もちろん、引っ越し費用は会社が負担しますが、子どもの転校などの費用を負担してくれる会社は少なかったのです。
転勤により、学生服や体操服、諸々の負担は転勤者へ大きく負担を強いられます。
マイホームや子どもの進学など、人生設計への影響も大きいです。
ほかの多くの人が家を買うのが普通とする中、賃貸で暮らしていく先行き不安な生活を余儀なくされました。
また、働く本人は場所が用意されていることで不安の低減はありましたが、妻や子供にはゼロスタートの人間関係、環境の変化で精神的な不安は計り知れないものでした。
単身赴任者の誕生
その結果、1970年代より子どもがある程度大きくなってから、家族を置いて単身赴任するサラリーマンが増えて行きました。
終身雇用の崩壊
21世紀に入り、転勤を受け入れる理由となっていた終身雇用や年功序列が崩壊すると、転勤は加速度的に避けられるようになりました。
ライフスタイルの多様化
子どもの進学や介護などを理由とした転勤を避ける制度や、地域限定社員の導入などが、増えてきました。
一方、働く人たちにとっては、ライフスタイルの多様化やワークライフバランスの向上が出来るため、利用しようと考えている社員は少なくないと思います。
日本とアメリカの単身赴任の考え方比較
日本
日本の文化では、単身赴任は一つの方法として受け入れられていますが、家庭とのバランスを保つことが難しいと感じるケースも多いです。
日本の企業文化は、忠誠心や組織への貢献を重視するため、単身赴任が仕事への献身の一部と見なされることがあります。
アメリカ
アメリカでは、仕事と家庭のバランスを取ることが強調されます。単身赴任は一つの選択肢であり、家族との離れ離れがストレスを引き起こす場合もありますが、柔軟性を持つ文化が一般的です。
あとがき
今後はグローバル化も進み、日本独自の制度も減ってくると思います。
その時に、家族を大事にする制度になって欲しいなと希望します。
やはり、元気に働けるのは奥さんや子供たちのお陰ですし、離れて暮らすとその貴重な時間の共有が出来ません。
仕事も大事ですが、家族が1番ですからね。
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