還暦からの底力

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「還暦からの底力」と書いていますが、年齢が変わらず多くを学べる内容になっています。

そこらにあるビジネス・実用書と異なり良書です!
内容は全て当たり前の事柄ばかりなのに、慣習や精神論に振り回される現実の自分に目が覚める思いがしました。

著者は出口 治明は、日本の実業家。

60歳をすぎてからライフネット生命保険株式会社を立ち上げた創業者です。

項目

第一章 社会とどう向き合うか
第二章 老後の孤独と家族とお金
第三章 自分への投資と、学び続けるということ
第四章 世界の見方を歴史に学ぶ
第五章 持続可能性の高い社会を残すために

本作での面白い会話を抜粋します。

人事役員との会話

ある大企業の人事担当役員と会食をしたときのことです。

「転勤をしたくないというわがままな社員が増えて困っています。これでは日本の将来が心配です」

と語るので、僕は次のように反論しました。

「そういう考え方は歪んでいると思います。企業命令でどこにでも自由に社員を転勤させられるという考え方は、2つのあり得ない前提を置いています。一つはその社員が『飯・風呂・寝る』だけの生活をしており、地域や社会との関わりは一切ないという前提。その社員はひょっとすると、週末は地域のサッカーチームで名コーチとして子供たちに慕われているかもしれません。もう一つはパートナーが専業主婦(夫)で、転勤を命じたら黙ってついてくるという前提。パートナーも仕事を持っていたり、地域とのつながりがあったりするでしょう。だからグローバル企業では、転勤するのは希望者と経営者だけです」

しばらく下を向いていた彼は、再反論してきました。

「希望者だけ転勤させるようにしたら、札幌や福岡のような元気のある大都市にはみな手をあげますが、過疎地には行く人がいなくなってしまいます」と。

「希望者がいなければ現地採用すればいいだけの話です。過疎地にはあまり仕事がないので地元からは喜ばれるし、多様な背景をもった人材の採用にもつながるでしょう」。そう返したら、彼は黙ってしまいました。

転勤に対しての反論

日本企業の平均寿命は「23.3年」です。人生100年時代のキャリアとしては一生に3つから4つくらい企業を変わることになりますから、一つの企業のなかの、全国のいろいろな事業所などを、知る必要は全くありません。それより、専門性をみがいたほうがはるかに役に立ちます。

人間は本来、地域と結びついて生きていて、パートナーも地域で生活しているのだから、企業の勝手でどこにでも転勤させられるという、人間の本質に合わないシステムをなくさない限り、永遠に地域おこしなどできません。

日本企業の慣習に対して

他にも定年制という考え方、長い労働時間、「飯・風呂・寝る」を繰り返すだけの生活に対して、大きく反論しています。

サラリーマンの一括採用、終身雇用、年功序列、定年などの労働慣行によって、仕事オンリーになってしまいます。

趣味を持つことや地域社会と関わることが

全くできない人を大量につくりだしてしまいます。

他にも少子化問題や男女差別にもメスが入り、読んでいて気持ちが良いですね。

全て根拠と事実を明示しているので、清々しく読めてしまいます。

これから大事なことは?

「人・本・旅」

たくさんの人に会い、たくさん本を読み、いろんなところへ出かけていって刺激を受けること。

「人・本・旅」を通して自分を磨くことが

大事だと説いといます。

探求力

そして、変化が激しい社会で必要なことは、

物事を根底からとらえる探求力。

なぜそうなるのかを自分の頭で考え、自分の言葉で意見を言える能力を持った人を、社会のいたるところで作って行く事が急務だと言ってます。

あとがき

人生を楽しんで暮らすために必要な情報が多く詰まっており、「こんな考え方もあるんだ!」と考えさせられる場面も多くあります。

久しぶりに良書に出会えました。

皆さんも是非読んでみてください。後悔はしませんよ!

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